『塗る』防水と『張る』防水
防水は屋上をはじめ建物のいたるところに使われております。防水には様々な種類がありそれぞれの特徴を生かして用途に応じて使われています。 防水材料を大別すると『塗る』防水と『張る』防水に区分されます。
①『塗る』防水
液状の防水材料をかき混ぜ化学反応を起こして防水の膜を作る工法です。狭い部分の施工に向いています。施工する下地に不陸があると膜厚に薄い箇所が出来る可能性があるので、下地処理が重要になります。よく使用される『塗る』防水としてはウレタン塗膜防水 が知られています。
②『張る』防水
工場で加工されたシート状の防水材を貼り合わせる工法です。『塗る』防水よりも下地の影響を受けにくい特徴がありますが、シートのつなぎ目処理に職人の技量差が出やすい面があります。よく使われる『張る』防水としては塩ビシートや加硫ゴムシート防水が知られています。
③『塗る』+『張る』防水
『塗る』+『張る』防水として最も知られているのはアスファルト防水です。2層以上に重ねて施工しますのでとにかく丈夫で長持ちします。両防水の特徴を有しているので下地や施工者の不具合が生じにくい傾向があります。近年ではアスファルト防水の進化系である『常温工法』や『トーチ工法』も改修工事を中心に採用されてきています。
なぜ防水の改修が必要なのか?
鉄筋コンクリート造の建物の寿命は60年程度といわれます。建物を守る代表的な防水の寿命は以下の通りです。 ※建設省総合開発プロジェクト(昭和55年~59年)の『建築防水の耐久性向上技術』資料より引用。
アスファルト防水押えコンクリート仕上げ |
アスファルト防水露出仕上げ |
標準対応年数 約17年 | 標準対応年数 約13年 |
シート防水 | ウレタン塗膜防水 |
標準対応年数 約13年 | 標準対応年数 約10年 |
さて改修時期に達している防水層を改修せずに放置した場合、防水防水機能の低下だけでなく劣化が進行することにより防水層を全面剥がしての改修工事を余儀なくされるなど改修費用が増大することにもなりかねません。今の防水層の現状を的確に把握して限界が来る前に防水改修をする方がコスト的なメリットがあるといえます。
但し標準対応年数はあくまでも目安ですので、標準対応年数が到来したといってすぐ改修時期に達したとは限りません。改修すべき状態になっているか専門業者に相談することをお勧め致します。(雨漏りドクターでも防水層の劣化診断を承っております。)